イベント情報
【2/24開催】
楽天の社内公用語英語化に学ぶ~英語力アップとビジネス拡大への挑戦~
2017年2月24日に大阪で「楽天の社内公用語英語化に学ぶ~英語力アップとビジネス拡大への挑戦~」と題し、楽天の社内公用語英語化を推進した葛城崇氏と、東進ハイスクールの英語科カリスマ講師の安河内哲也氏を
招きセミナーを開催した。
企業のグローバル人材育成担当者対象のセミナーでありながら、高校や大学などの教育関係者の参加も多く、会場は大いに盛り上がった。
マークシートの試験では正しい英語力は分からない!
実際に英語を聞いて、話す力を測定することが重要だ!と訴えた
安河内哲也氏は、「社員が英語を話せるようになるたった一つのこと」と題し、マークシートだけで英語力を測定する従来の試験の問題点を挙げた。
その上で、実際に英語を聞き取り、話す力を測定するテストの必要性を説いた。
スピーキング力向上の第一歩は「実際に英語を聞いて話すテストを指標に採用すること」。さらに英語学習の評価と指導の一体化を熱弁した。
安河内氏の話に、参加者は大いに納得している様子だった。
社員の英語力を向上させる第一歩は英語力の見える化と、最適な研修の実施!と葛城氏が自社の事例を説明した
楽天の社内公用語英語化を推進した葛城氏は、プロジェクト推進のための工夫やその効果を話した。
具体的には、新入社員から既存社員まで各層への最適な英語研修の提供やモチベーション管理、成果実感に至るまでの様々な試行錯誤を苦労話を交えて紹介した。
社内での英語研修を成功させる秘訣としては、
「ネイティブレベルを目指さないこと」
「英語が苦手な人もフォローすること」
ともアドバイスした。
楽天ではまず、現状の英語力を「見える化」することから始め、目標に対してどれだけかい離があるかを明確にして英語研修を実施している。さらには、ボキャブラリーなど基礎力をTOEIC向け学習で鍛え、実力が一定水準に達した社員には、英語を話す力を測定する『Versant』スピーキングテストを受けてもらっている。Versantの導入で、筆記テストの点数は高いのに、英語が話せない社員の課題が明確になった。
葛城氏は、社内公用語英語化の最大の効果として、社員に「自信」をもたらし、キャリアの可能性が広がったことを挙げた。さらに、世界中から優秀な方が入社を希望するようになったと振り返った。
今後は「聞く」「話す」を重視した4技能学習が重要になる(安河内氏)、英語公用語化は苦労も多かったが、それ以上のリターンを実感している(葛城氏)
最初に進行役の日本経済新聞社 渡辺氏より日本人の英語力の低さは、世界のビジネスシーンにおける存在感という点で大きな課題であり、特に英語スピーキング力の向上は企業と教育機関が一体となって取り組むべき社会的課題ではないか、という問題提起があった。
パネルディスカッションの冒頭に、スペシャルゲストとして大阪市立大学の英語開発教育センター 山本准教授が登壇。同大学が全学部にVersantテストを導入した経緯について、「客観性が担保されていること」を理由に挙げた。
討論の内容は、セミナー応募時の事前アンケートでテーマを募集し、それに登壇者が答えていく形式で進行した。
「企業が学校の英語教育に望むことは?」という教育関係者からの質問に、葛城氏は「入試を4技能に変更することと、英語でディスカッションする授業を導入すること」、安河内氏は「もっと話す力を伸ばすことが重要」と答え、現状の2技能中心の試験から「聞く」「話す」を特に重視した4技能中心の試験や学習へ移行する必要性を訴えた。
また、「英語研修を最適化するには?」という問いに対しては安河内氏が「スピーキング力の向上を目標にすること」と答え、葛城氏が「実際に使われている英語を聞くことや、実際に使用する場面を想定したロールプレイが有効で、かつ客観的な判断指標の導入が重要」と続けた。
会場からの「英語を公用語化するデメリットは何か?」という質問に対して葛城氏は「正直、最初は本当に大変なことばかりです。
ただし、そこを乗り超えたらその苦労以上のリターンがあるし、それを実感している」と語り、やり遂げる重要性を説いた。
会場は定員を大きく超える181名が来場。
特に大阪会場では高校教師や大学講師など教育関係者の方が多くみられ、英語教育への関心の高さがうかがえた。
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